introduction
 

万華鏡の1パターン 麻布十番の万華鏡ショップ
昔館
銀座・ギャルリーヴィヴァンの
国際万華鏡協会展
マンゲキョウ。英語ではカレイドスコープ、kaleidscope.張り合わせた三枚の鏡面のなかにガラスやセルロイドの切れ端を入れ、筒を回しながら覗くと、破片が華麗なダンスを踊り出すなど、さまざまな方法で繰り広げられる小さなドリームランド。ほとんどの日本人の少年のころの美術体験。1816年英国の物理学者ブルースターが発明したというが、1850年の幕末に高野長英が記述しているところからすれば、発明してまもなく日本に入ってきたことになる。よほど日本人の好みにあっていたものと見え、戦前から玩具屋の定番になっていた。これをアートとして推進しようというわが国の運動は、アメリカのブリュスター協会の影響下に次第に高まり、90年代に入って六本木の誠志堂、麻布十番の昔館、銀座のギャルリーヴィヴァン等が先駆者として登場した。コンピュータによるデジタルアートの発展が、19世紀以来のアナログへのノスタルジーを刺激したものと見える。その覗き見が一瞬、余りにもグロテスクな現実を忘れさせてくれるという効能も。
六本木六丁目再開発 建設進む丸の内丸ビル
汐留地区開発 その開発は新橋裏にまで達する 新駅建設を含む東品川開発
ノスタルジックな万華鏡作りの手を休めて窓外を見れば、東京都心地区再開発の壮大なパノラマが迫ってくる。それは巨大クレーンによるもう一つの万華鏡作りなのかもしれない。80年代末期のバブル折には、地上げによる地価高騰が再開発を妨げていた。バブル崩壊こそがこの逞しい開発を呼び起こしているのだとすれば、構造改革が進展する先に待つ一層高度な街作りが期待される。ファッションの立場からすれば、ナイトレジャーに偏ってしまっっていた六本木の新展開化が期待されるわけだし、それに表参道の同潤会アパートなどの再開発が、それにどう呼応するかも興味深々。

改装の銀座松屋 リフレッシュした銀座資生堂 四丁目角のエスプレッソカフェ
再開発を先制しようとする改装も着実に前進。銀座松屋の改装は、イッセイ・ミヤケ社長に転進した太田伸之氏の見事な置き土産。故郷バルセロナの土の色を際立たせたリカルド・ボフィルによる資生堂改装もさすが銀座パイオニアの心意気。新築されたエルメスビルには日仏の畑を翳す騎士が、入店のための行列を睥睨している。然し私にとって個人的な嬉しさは、何より四丁目角のカフェだ。道行く人を眺めながら、北京発のメールを読む。
「オリンピックの決まった夜は、本当に熱〜い夜でした。発表の10時近くBARストリートにいたら、テレビ局のカメラやビールかけの人でもみくちゃになって、着ていたシルクの服もシミくちゃ!帰りに乗ったタクシーは途中で渋滞してしまい、天安門まで繋がっているとか…。諦めて途中で降りて車道をずつ〜と歩いて帰る羽目になってしまいました。夜中過ぎても車のクラクションが鳴り響いていましたよ。面白いのは次の日。英会話スクールに入学希望の人が殺到したとか……。」東京もソウルもオリンピックで一変した。2008年の北京は、1271年に創建された大都の再来になるかも。それと向き合う21世紀東京の行方は…。(toppageへ)